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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第93章 重ねて※




「・・・お水、いる・・・?」

彼に背を向けるようにベッドに腰掛けると、そのまま背中で尋ねた。

聞きたい事は山程あるが、今は彼の体調を整えることが優先だ。

・・・何時間か前までは、味方ではないと判断していた人なのに。
結局、そうはなり切れていなかった事を痛感した。

「・・・ひなた」
「ん・・・?」

吐息をもらすように呼ばれた名前に反応して振り向くと、彼は目元を覆っていた腕を少し上に上げ、こちらを見ていて。

「隣に、居てくれないか」

そう言いながら片腕をこちらへと伸ばされて。

今でも十分に隣だと思うが、彼の言う隣は距離の無いものを言っているのだろう。

「・・・・・・」

彼の要望通り、静かにその距離を詰めると、伸ばされた腕に頭を乗せ彼の隣へと横たわった。

・・・零の、匂いがする。

ただ、そこには消毒液のような薬品の匂いと、僅かな血の匂いも混じっていて。

こうする時はいつも鼓動を強くさせていたのに。
今日は違う意味でも、鼓動が強くなっている。

「・・・!」

目は合わせないように、彼と向き合いベッドに横たわる中、彼の左手が突然頬に触れて。

その手はゆっくりと頬を滑り、唇をなぞると、また頬に戻った。

そのもどかしくも妙な感覚に体を震わせていると、今度はそれが耳へと触れた。

「・・・っ」

思わず目を瞑り、肩をピクっと動かしては体を硬くさせ、その弱い刺激に耐えた。

首に、鎖骨に、また頬へ。

場所を変える度、微弱になっていく刺激にいつの間にか、もっと・・・と、強請るように彼の胸へと顔を押し付けていた。

その呼吸は意識無く荒れていて、甘さを徐々に含んでいた。

「れ・・・」

・・・求めてる。

いつの間にか、彼を求めてる。

体が、彼を欲しいと叫んでる。

「ッ・・・」

でも、駄目だ。
これ以上は駄目だ。

「ちょ・・・っ、ちょっと飲み物飲んでくる・・・っ」

適当に言い訳をしながら彼から一瞬で距離を取るように体を起こすと、急いでベッドから足を下ろした。



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