第13章 愛して※
「や・・・っ、透さん・・・!」
その舌に今度は耳をなぞるように舐め挙げられて。直接かかる彼の息に耳まで犯されてしまいそうだった。
「・・・んっ、・・・ぅ」
漏れそうな声を唇を固く閉じ、その上から手の甲で蓋をして我慢するが、吐息と共に僅かながら出てしまって。
そんな声を透さんに聞かれていると思うと恥ずかしさから消えてしまいたくなって。
「・・・ふ、・・・や、あっ・・・!」
耳たぶを吸い上げられ、妙な気持ちが高まる。口に蓋をしている手とは反対の手で透さんの服をギュッと掴んでそれを抑えるが、声と無意識に動く体は抑えられなくて。
「い、いや・・・っ!」
気持ちとは裏腹な言葉が出てきて。
「嫌、ですか?」
ずるい声。
耳元で吐息と一緒に囁かれ、それに体が反応しない訳なくて。
「ひなたさんが嫌ならやめますが」
少し楽しげに言いながら、近かった体が少しだけ離れる。
体は必死に透さんを求めている。
それでも、彼を求める言葉を口にすることはできなくて。
「い・・・嫌では・・・ない、です・・・」
段々と声は消え入るように小さくなって。透さんと離れたくないことは確かなのに。これが私から今言える精一杯の言葉だった。
「すみません、よく聞こえませんでした」
「・・・・・・っ」
透さんの意地悪さ加減が増していく。
自分に余裕が無くなってきて、余計にそう感じたとも思うが。
「意地悪な透さんは嫌いです・・・」
「僕はどんなひなたさんでも好きですよ」
そんなことは聞いてないのに。
とにかく、この熱を帯びてしまった体を早くどうにかしてほしくて。訴えるように透さんの服を無言で引っ張る。
「どうしました?」
わざとらしく、とことん意地悪に。
でもどこか優しくて。
「・・・何でも・・・ないです・・・っ」
「そうは見えませんけどね」
この状況を楽しんでいるように話す透さんは何故、余裕なのか逆に疑問に思って。余裕が無く、こんなに求めているのは私だけなのだろうか、と。
「透さんは・・・?」
「僕、ですか?」
「・・・ここで・・・やめられますか?」
恐る恐る確かめる。正直答えは聞きたくなくて。大丈夫、なんて言われたら恥ずかしいだけでは済まされない。
少しの間の後、透さんが小さく笑った気がした。