第13章 愛して※
「・・・っん・・・ぅ!」
奥にまで攻めてくる透さんの舌が思考を鈍らせる。苦しいと感じる前に意識を飛ばしてしまいそうで。
逃げようにも頭は彼によって固定されてしまっていて。彼を見上げるような形でするキスに、全身の力が抜けていく。
「・・・っは、ぁ」
ようやく唇を離された頃には体に上手く力が入らなくて。気付いた時には彼に支えられていた。
呼吸が荒いまま彼の顔を見上げると、あまり見たことのない透さんの表情が目に飛び込んできて。心臓が大きく跳ねたのがそんな状態でも分かった。
「と・・・るさ・・・」
「・・・では、約束通りベッドを使わせて頂きますね」
「あ・・・ちょ・・・っ!」
そう言って私を抱き抱えると、ベッドまで歩み寄る途中に部屋の電気を消し、私をベッドに半ば投げるように置いた。
彼の手から落ちる瞬間に目を瞑ったが、彼が私に覆い被さったことはベッドの沈み加減で分かって。
「・・・そんなに可愛いことをされると、止まらなくなってしまいますよ」
その声でゆっくり目を開くが、部屋は真っ暗で彼の顔はよく見えない。でも、透さんの右手が私の頬を這っていくのは暗闇で研ぎ澄まされた感覚が受け止めて。
「覚悟、してくださいね」
何の、と聞く間もなく、また唇が落ちてきて。くちゅくちゅと鳴り響く、お互いの唾液が混ざり合う音に耳までおかしくなりそうだった。
「ふ・・・んっ、あ」
キスの合間に空気を取り込もうとするが上手くいかない。舌は逃れても、また透さんが追いかけて絡めて・・・キスで気持ち良いと感じたのは透さんが初めてで。
「ん・・・っ、んんっ、ぅ!」
それでも苦しさの限界はきて。彼のビクともしない肩を力の限り押すと、唇が名残惜しそうに離れた。
「と・・・透さ・・・!」
荒い息の中、彼の名前を怒ったように呼んで。それに対して彼は、ハッキリ顔は見えないが笑ったように感じた。
「怒っている様子も、素敵ですよ」
耳元に顔を近付けられたと思ったらそんなことを言われて。ゾクッとした何かが体を強ばらせた。
その時感じた首元への生暖かい感触。下から上に舐め上げられていると分かったのは彼の吐息からで。
「ひゃ・・・っ!」
悲鳴に近い声を上げ、体を捩らせる。くすぐったい感覚にも似ているが、それ以上に妙な気持ちを掻き立てられた。