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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第92章 執行人




「映像を転送する時の電話のあれは・・・何だったの?」

僕は、君を愛している。

彼はそう言った。

あれはまるで、最後の別れの言葉のようでもあった。

「・・・そのままの意味さ。伝えたかったから伝えただけだ」

それは、私が思うような受け取り方で間違っていないという事なのだろうか。

それとも、ただシンプルな意味を持つ言葉なのだろうか。

「降谷さん、このまま病院に向かいます」
「ああ、頼む」

ドアを開け、顔だけを除き込ませながら風見さんがそう伝えて。

零の返事を聞くと、ようやく車に乗り込みエンジンを掛けた。

「・・・悪いが、肩を貸してくれないか」
「肩・・・?」

そう戸惑っている間にも、私の左肩に彼の頭が寄りかかってきて。

「少し眠る。着いたら起こしてくれ」

どこか力無い声でそう言うと、彼はあっという間に眠りについてしまった。

静かに呼吸をする彼を横目で見ながら、何となく、ここに呼ばれた理由も分かり始めてきて。

「・・・最近、あまり睡眠を取られていなかったみたいです」

前を見ながら、背後に居る私に風見さんがそう伝えてくれて。

いつもあまり睡眠は長くないが、風見さんが言うのならそれ以上だったのだろう。

それが悪い方向での頑張りで無ければ良いのだけど。

・・・零に使われる風見さんも、楽ではないだろうな。

「風見さんも、たまには怒っても良いと思いますよ」
「そんな事できませんよ・・・!」

焦る風見さんに、思わず小さく笑いが漏れた。

・・・湧き上がってきた自然な笑いなんていつぶりだろう。

「・・・風見さん」
「はい」

私と風見さんにとって、零は特別な存在だ。
でも、その特別の意味は何処と無く似ているようで、全く違う。

「零を・・・守ってください」

そして、この言葉の意味も、形は違ってくる。

記憶が無くなったあの時、風見さんから同じ事を言われた。

今の私にそれができているかどうかは分からないが、私にできない守り方をお願いできるのは、風見さんしかいない。




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