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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第13章 愛して※




「どうします?」
「それでもしないです」

そう強がってみせる。それが今の私にできる精一杯の抵抗。

「そういえば長所は頑固でしたね」

くすくすと笑う透さんに、どうしてこの人はいつも余裕綽々なんだろう、と逆に呆れてきて。

「・・・透さんっていつも余裕そうですよね」

そう告げると私をチラリと見て、またコーヒーに口をつけた。

「ひなたさんといる時は余裕なんてありませんよ。そう見せかけているだけです」

その言葉は全く信じられなくて。小さなため息混じりに、私もコーヒーへ口をつけた。

「ひなたさん明日はポアロですよね、そろそろ寝る準備をしましょうか」

立ち上がり、炊事場へ移動する。私も残っていたコーヒーを急いで飲み干し、炊事場へ急いだ。

お互いカップを洗ってタオルで吹き、戸棚に戻す。何だかここが私と透さんだけの秘密基地のように感じて。

「ひなたさんはベッドをどうぞ、僕はソファーで寝ますので」
「いえ・・・!前にベッド使ってしまったので今日は透さんが使ってください」
「腰悪くしますよ?」
「それはこっちの台詞です」

暫くそんな言い合いが続いて。今回こそは引き下がらないと心に強く決めていたからか、彼には強く立ち向かえた。

「透さんがベッドで寝ないなら帰ります」
「随分と強く出ましたね」

それでも透さんは笑いを堪えるのに必死、といった感じで。
それを見て、私の中に僅かにある闘争心へ火がついてしまった。

「では、ひなたさんがキスしてくれたら、ベッドを使わせてもらいます」

私には無理だと言わんばかりに、彼がそう言うから。
まだ余裕のある顔をしていたから。
不意を打ちたくて。
その笑顔を余裕のないものに変えたくて。

少しでも私で動揺してほしくて。

さっき動かなかった体が嘘のように。
彼の肩辺りの服を掴んで引き寄せて。
少し背伸びをして顔を近付ける。

そのまま彼の唇と自分のそれを触れ合わせた。
優しく、触れるだけ。

目は反射的に瞑っていたから彼の顔は見えなかったけれど。
少しくらいは動揺してくれただろうか、なんて思いながら唇を離しかけると。

「んっ・・・!」

さっきと同じように後ろ頭を掴まれ、今度は透さんから深く口付けられて。
熱い舌が絡みついて、それに全てを溶かされてしまいそうだった。


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