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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第92章 執行人




「・・・・・・」

あれから、数十分経った。

何をするでもなく、ただソファーに座って天井を見上げるだけ。

ここに居ろと言われているのに、居ても良いのか不安にさえなって。

そんな時だった。

「・・・?」

外の薄暗さが増してきた頃、突然部屋の明かりがチカチカと点滅し始めて。

まだ新しい物なのに。

接触不良だろうか、と思いながら徐ろに立ち上がると、ゆっくりと電気の真下へと移動して。

不規則な点滅を繰り返す電気に首を傾げながら、一応新しい物に付け替えてみようとした瞬間。

「ッ!?」

パァンッと大きな音がしたかと思うと、電球が破裂するように割れた。

真下にいたせいで、その破片は頬と手の甲を軽く抉るように通った後、勢いよく床に落ちていって。

何が起きたのだろう。
出来事が一瞬過ぎて頭がついていかないが、とりあえず散らばった破片を片付けるのが先決だと思ってしまった。

怪我をしたことは分かっていた。
手からも頬からも、血がそこそこ溢れてきていることも。

でも、僅かだがパニックになっているせいか、それが気になることはなかった。

「懐中電灯・・・」

確かデスクの下に、取り付けていたはず。
そう思って暗闇になった視界のまま不用意に一歩踏み出すと、割れた電球の小さな欠片を踏んでしまって。

「・・・ッ・・・」

踏んだり蹴ったりとは、こういう事を言うのだろうか。

小さな自暴自棄になりながらも、足の裏の欠片を取り払い、何とかデスク下まで辿り着いて。

それで足元を照らしながら箒とちりとりを手に取り、何とか大きめの破片だけは片付けられた。

あとは明るくなってからだ。
そう思う頃には、頬を伝った血が床にポタッと落ちて。

その時やっと、僅かに痛みを感じた気がした。

それは、頬や手もそうだったが、心の方も。

コナンくんには強がってあんな事を言ってしまったけれど。
本当は、コナンくんに自分の状況を理解させられて、少しだけ・・・ほんの少しだけ、怖くなった。

彼はこの国の為なら・・・私をどこまで利用するだろうか、と。



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