第92章 執行人
スマホをパソコンに繋ぐと、更に詳しく解析を進めた。
恐らく、追跡アプリのようなものは入っているだろう。
そう考えれば、零と行く先々で会っていたのも納得できる。
「・・・!」
予想とは少し違ったが、アイコンが残らないタイプの遠隔操作アプリが、彼のスマホにダウンロードされていた。
彼の言っていた通り、カメラのレンズとも連動されている。
つまり他の端末で、このスマホのレンズからの映像が見られるということで。
ただ、それ以上に驚いたのは。
「これ・・・っ」
私が作ったものに、よく似ているということ。
というよりは、基本的な作りは私が作ったものそのものだった。
それも、つい最近作ったもので。
赤井さんと直接会うのを避ける為、その時使う用に作ったペンダント型のカメラ付き通信機。
それは離れた赤井さんのスマホに、映像を飛ばしていた。
そのペンダントに組み込んだ内容と・・・このアプリの内容は、殆ど同じで。
形がスマホかペンダントかの違いくらいだった。
「・・・ッ、・・・!」
そういえば。
あの時のペンダント、どこに置いたっけ。
あれから見た覚えがない。
零には勘づかれていたが、作ったことは言っていないし、何なら解体してしまおうと思っていたのに。
「・・・・・・」
これは流石に、疑わざるを得ない。
コナンくんは誰に仕掛けられたとは言っていなかったが、手元から離れたのは毛利探偵事務所に公安の家宅捜査が入った時、私の到着前だと言っていた。
あそこには風見さんも居た。
零が・・・ペンダントの中身をそのままアプリに作り替えていたとしたら。
違法捜査がお得意だと言う公安なら、そういうことができる人もいるだろう。
・・・私は、ある意味。
利用されたのか。
確証は無いが、そうだと言われているようで仕方がなかった。
「・・・っ」
あの時・・・ペンダントを気にしていたあの時。
彼がキスをしたのは。
ペンダントを手に入れる為のものだったのだろうか。
だったら、さっきの車でのキスも。
何かの、為・・・?