• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第91章 ゼロの




風見さんだ。

零に近付くように歩く彼も同時に視界に入れると、すれ違う瞬間に違和感を感じた。

「ーー・・・」

・・・今、何かを喋った・・・?

風見さんが零に、そうしたように見えた。

遠くではっきりとは確認できなかったが、何となくそう見えた気がして。

「くそ・・・っ!」

目暮警部との話を中断していたコナンくんは一言そう吐くと、何故か風見さんの方へと走り出していて。

何をするのかと思わず身を乗り出しそうになったが、グッと堪えて帽子を被り直した。

「ねえ、刑事さん!」

風見さんに飛びかかった彼は、そのまま右腕を掴み体を宙に浮かせて。

「おじさん家から持ってったパソコン、返してよ!」

その声は、イヤホン越しでなくても聞こえる程、警視庁内に響いた。

無邪気な子どもの様な言い方。
でも彼がそうするにはきっと訳がある。

そう思って、彼を注意深く見ていると。

「僕の好きなゲームも入ってるんだからー!」
「・・・!」

見逃さなかった。

一瞬だったが、彼が風見さんの袖に手を忍ばせたのを。

きっとあれは、盗聴器。
それは想像で直感だったけれど、自信はあった。

・・・コナンくんには一度、過去に同じことをした疑いがあるから。

「あれは証拠物件だ、まだ返せない」
「コラ!コナンくん、やめなさい!」

しぶとく風見さんに捕まるコナンくんを、駆けつけた目暮警部が首根っこを掴んでやめさせて。

「博士が作ってくれたソフトなのに・・・」

手は抜かない。

風見さんの姿が見えなくなるまで、彼による江戸川コナンを見せることは続いた。

これは目暮警部の話を聞く所ではなくなってしまった。
とりあえず零に見つからなかったのは不幸中の幸いで。

・・・そう、思っていたのに。

「・・・ッ!?」

突然誰かに手を引かれ、そのまま警視庁内のどこかへと連れていかれた。

手を引く人物はフードを被っていて、誰なのか顔は確認できない。
そして掴む手の力は強く、振りほどく事もできない。

ここは警視庁だ。
悪い人が入れるはずがない。

だからなのか。

・・・怖い。

どこかへ連れて行かれている間、沸いてくる感情はそれだけで。

抵抗する力も、声を上げることもできなかった。



/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp