第91章 ゼロの
「ズルいなぁ・・・」
『如月さんも、中々ズルいと思うよ』
こんな小さな探偵に上手く扱われているなんて。
やはり零が目を付けるだけある。
「分かった、タクシーですぐ行く。何処に行けばいい?」
零にバレたら怒られるだろうが、それ以上に彼は私に言えないことをしているはずだ。
彼が間違った方法で日本を救おうとしているのなら・・・私はそれが、零であっても止めたい。
『その前に話しておきたいことがあるんだ。一度、妃法律事務所に寄ってくれる?』
「・・・妃さんの?」
一度だけ、妃さんが盲腸を患った時に会ったことを思い出しながら、出掛ける準備を始めて。
『うん、話はそれから』
そう言って電話は切られてしまった。
私が寝ている間に、何か進展があったのだろうか。
それが、悪い方向でなければ良いけれど。
そんな不安を膨らませては、コップの中の水を一気に飲み干して、事務所を飛び出した。
ーーー
「ごめんね、如月さん」
「ううん、大丈夫。それより、話って?」
彼に言われた通りに、タクシーで妃法律事務所へと向かうと、コナンくんは既にその目の前で待機していて。
二人で後部座席に並んで座ると、彼は運転手に行き先を、警視庁へと告げた。
「今回の裁判を担当する検事さんがね、追加の捜査を依頼してるんだ」
「え・・・?」
ということは、検事さんは今回の事件に疑問を持っているということか。
「じゃあ、まだ毛利さんは・・・」
「ううん。捜査を依頼しているのは検事さんの一存で、公安は起訴を決めているらしい」
・・・どうして。
やはり毛利さんを犯人に仕立てあげたいのか。
零がそれら全てに関わっているのかはまだ分からないが、コナンくんとの会話を聞いてしまったせいか、疑念は拭えない。
「それと、今回毛利のおじさんの弁護をしたいっていう弁護士なんだけど・・・」
「?」
妃さんが弁護をする訳ではないのか、と思うと同時に、身内だからできないのかと自己解決して。
そんな中コナンくんから弁護士、橘鏡子の話を聞かされた。