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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第91章 ゼロの




「・・・本当にこんなことしてる暇ないんです」
「では、お話は単刀直入に」

そう言って彼は珍しく、私の目の前で化けの皮を剥いでみせた。

それには流石に驚いて声も出ず、ただただ目を丸くしてその様子を見つめた。

「組織に潜るそうだな?」

顔と共に声も赤井秀一のものにすると、本当に単刀直入に問いかけてきて。

そういえばコナンくんが、赤井さんがこの事について探っていると言っていたなと思い出しながら、彼から顔を背けた。

いつかは分かると思っていた事だが、その日は予想より早く来て。

「元々、バーボンの愛人として傍にいたんです。状況として大きく変わるものではありません」

今は、そう自分に言い聞かせている。

怖くない訳ではない。

零に迷惑を掛けてしまうのではないか、ジンにどう扱われるのか、組織で何をさせられるのか。
不安だらけなのは確かだ。

「本当にそうだと良いがな」

何か含んだ言い方が引っ掛かり、逸らしていた視線を赤井さんへと向けて。

彼がこの姿で話をするのは本当に珍しいことで。
わざわざそうした事にも疑問は感じていた。

「一つ、取引をしないか」
「・・・取引?」

何故彼がわざわざ赤井秀一の姿を現したのか。
その取引の内容を聞いて、何となく分かった気がした。

その話は私にとっても、FBIにとっても悪いものではなくて。

勿論、こちらにもリスクはあるが、零のことを・・・公安警察のことを考えると、今はこの条件を飲むべきだと判断した。

零に言えば反対するだろうし、今は公安警察に疑念が残るが。

「分かりました。その代わり、私は如何なる場合でも、公安を・・・透さんを優先しますから」
「ああ、構わない」

赤井さんと取引の話が終わる頃には、一時的に体の調子も戻っていて。

ただ、疲れていることに変わりはない。

話が終わると、素早く工藤邸を後にして。
タクシーで新しい事務所へ戻り、ベッドへ倒れ込むと同時に浅い眠りについた。

疲れもあったせいか、その眠りの最中、あまり良いとは言えない夢を見た。




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