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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第91章 ゼロの




『・・・どうした』
「!」

数回のコール音の後、予想と反して彼は電話に出た。

自分で掛けておいて、心の準備が整っていなかったことに今更気が付くと、急に言葉が詰まってしまって。

「あ、えっと・・・おはよう」
『もう昼が来るが、な』

・・・もうそんな時間なのか。
作業に没頭し過ぎていて、時間感覚を失っていた。

『今、どこに居る?』

私が彼に質問する予定で掛けた電話だったのに。
先にそうしてきたのは彼からだった。

そして、その問いには心臓がいち早く反応して。

一際強くドクンっと脈打てば、一瞬で呼吸が苦しくなった。

「・・・今は、ちょっと買い物に出てる」

昨日、彼は事務所にもセーフハウスにも戻ってきていないはずだ。

だって。

『そうか。そういえばメール、返せなくてすまなかった』

昨日のメールでは、今日も帰らないのか、怪我は大丈夫か、ということを聞いていた。

返信が無いということは、私達の間では戻らないということを意味している。

返信が無いことは多々あった上、昨日は作業にも追われていたから、それについて不安に思うことは無かった。

「ううん、大丈夫。怪我は?」
『大したことはない』

何気無い会話。

違うのに。

こういう会話をしたいんじゃないのに。

「・・・ねえ、零」
『どうした』

・・・言え、今しかない。

早くなる鼓動に気が散ってしまいながらも、自分に何度も言い聞かせて。

「あの爆発の・・・」

そこまで言いかけた時、誰かに肩へ手を置かれて。

「・・・ッ!!」

驚くと同時に反射で振り返ると、相変わらずタイミング悪く現れるあの人が居た。

『・・・ひなた?』
「ご、ごめん・・・、やっぱり何でもない。無理しないでね」

そう言って、せっかく繋がった電話を一方的に切った。

この人さえ現れなければ、もう少し話を聞けたかもしれないのに。

「・・・沖矢さんはタイミング悪く現れる天才なんですね」
「お褒め頂き光栄です」

睨み付けて皮肉を言えば、いつもの見下したような笑みが返ってきた。



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