第91章 ゼロの
「何だよ!!」
「!?」
突然声を荒らげた彼に驚き、肩を震わせて。
こんなに冷静さを無くした彼の声は初めて聞いた。
「爆弾じゃなかったのかよ!」
・・・確かに、これは爆弾ではない。
爆発物だと思って私が声を掛けてしまった。
「・・・ごめん」
早まった判断に申し訳無くなり、視線を落としては彼に謝った。
「コラ!」
その直後、今度は博士が声を張り上げてコナンくんを叱咤した。
「爆発物を探せっていう君の頼みで、哀くんや如月くんもこうやって頑張ってくれてるんじゃぞ?それを何じゃ、君らしくもない」
そう言った博士に、コナンくんは冷静さを取り戻したようで。
「・・・悪かった。如月さんも、ごめんなさい・・・」
そう謝罪の言葉を口にした彼に、どこか違和感を感じた。
冷静、というよりは落ち込んでいるようで。
「何か、あったの?」
追い込まれているようにも見える。
その切羽詰まった表情は、こちらにも焦りを感じさせた。
「小五郎のおっちゃんが、送検された・・・っ」
「え・・・!?」
送検・・・?
そんな、まさか。
「指紋と、パソコンにあったっていう見取り図や予定表だけで・・・!?」
「その上、引火物へのアクセスログも見つかったらしい」
・・・動機が無いのに。
「それだけの証拠で送検されるの・・・?」
「証拠が揃えば、送検される・・・」
淡々と答えるコナンくんに、言葉のつかない感情を覚えた。
焦りや、怒りでもあるが、虚しさや苦しさも感じる。
このままじゃダメだ。
・・・ここまで画像の解析が進んでいれば、これ以上私ができることも無いだろう。
「ごめん、私帰るね」
昨日の夜に送ったメールの返信も無い。
だから、今電話を掛けて出るとは思わなかったけれど。
「・・・・・・」
軽く片付けをして挨拶を済ませると、早々と阿笠邸を出て。
カバンからスマホを取り出すと、零に電話を掛けた。
・・・でも、何を聞けばいい?
私は彼と、爆発の件について直接何も話してはいない。
ただ怪我の手当てをしただけだ。
聞いたところで、出来ることは限られているのに。