第91章 ゼロの
飛び散った破片をドローンで撮影し、その画像をパズルのように繋ぎ合わせて形を復元していく。
単純だけれど、地道な作業。
改めて撮影された写真で現場を確認するが、その悲惨さは写真だけで痛いほど伝わってくる。
爆発物を特定することで何になるのか今の私では分からないが、コナンくんのことだから何か考えがあるのだろう。
夜通し作業は続き、日付も変わって朝になると、重たくなってきた瞼を持ち上げるので必死になってきて。
それでも何とかパソコンの画面と睨めっこをしていると、一つ違和感のあるものを見つけて。
「博士、哀ちゃん。ちょっと見てほしい物が」
そう二人に声を掛けると、哀ちゃんはすぐにそれを分析し始めてくれて。
私は急いでコナンくんに連絡を取り、哀ちゃんのサポートに回った。
「博士!如月さん!見つかったって?」
「コナンくん!」
程なくして彼は到着し、作業をしていた地下室へと姿を現した。
「おう、来たか。ほれ」
「確かに・・・爆弾に見えるかも」
作業を進める私達のパソコンを、顎に手を添えながら見つめて。
「今、爆弾の種類を特定する為、如月君と哀くんがネット上のあらゆる画像と照合してくれとる」
散らばる他の物と違って、これは特に損傷が酷い。
きっと、これが爆発物なんだと・・・思っていた。
「あったわよ、合致する物が」
哀ちゃんのその言葉に、私達は皆で彼女の操作するパソコンを覗き込んだ。
「詳細、出すわね」
テキパキと作業が進むその様子は、圧巻だった。
彼女の技術力の高さに目を見張っていると、爆発物だと思われたそれについての情報が表示された。
「IoT圧力ポット・・・?」
そこに書かれていたのは、電気調理器具についてのもので。
「圧力鍋をポットの形にした優れ物・・・スマホから温度、時間を設定するだけでスープなどの調理ができる・・・だって」
「調理?」
・・・そういえば。
「圧力ポットの他に、フライパンや鍋も散乱してたから、爆発した場所は施設内にある飲食店からかも・・・」
ということは、尚更事故に近いと感じるけれど。
それでも毛利さんの指紋や証拠がある限り、そう判断されるのは難しいのだろうか。