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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第91章 ゼロの




零だってきっと、今回の事には何か訳があるはずだ。

そう思っていたのに。

「・・・警察はね、証拠の無い話には付き合わないんだよ」

冷たくそう言い放った彼の言葉に、目を見開いた。

それは、つまり。
・・・なんて、考えたくないのに。

「何でこんな事するんだ!」

嫌な想像ばかりが広がっていく中、いきり立った様子でコナンくんが大きく叫んで。

その言葉は私の心や思いと、大きく比例していた。
だからきっと、この体が動いたのだろう。

彼に直接話を聞く為、階段を降りようと足を踏み出し始めた瞬間。


「僕には、命に代えても守らなくてはならない物があるからさ」


零の、決意が固まっているようなその言葉と声に、思わず足が止まった。

そして、一瞬だったが呼吸までもが。

そのたった数秒後。

扉が閉まる音が聞こえた。
つまりそこにはもう、零はいないのに。

・・・動かない。動けない。

それが何故なのか分からない。

彼の守らなければいけないものは、毛利さんを犠牲にしてまでも守らなくてはならない物なのか。

それが彼の使命である、この国のことを指しているとしても、間違っていることは私でも分かる。

「・・・・・・っ」

・・・何故、どうして。

そんな同じような言葉ばかりが頭を駆け巡って。

「・・・如月さん」
「!」

コナンくんに呼ばれようやく我に返ると、固く握っていた拳が僅かに緩まった。

そしてその姿に目をやれば、憤りが伝わってくる目付きでこちらを見ていて。

「今回の安室さんは・・・敵かもしれない」

・・・それは、今回も私が零の味方をするのであれば、容赦はしないと言われているようで。

実際、私はいつだって彼の味方になりたいと思っている上、そうしてきた。

けど、今回は。

「・・・そうだね」

零の行動に反発する気持ちが大きくて。

味方でありたいという気持ちに変わりはないが、今回ばかりは不信感というものなのか、疑問が多過ぎる。

・・・だけど。

「でも私は、もう少し話を聞いて判断したい」

きっとコナンくんには話せない何かがあるはず。

必死に何度も、無意識に彼を庇うように、自分へそう言い聞かせた。




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