第91章 ゼロの
「おじさんが・・・逮捕されそうなんだ」
「!?」
どうして。
何故、毛利さんが。
「僕、事務所に戻るね」
「私も行く・・・っ」
このまま放ってはおけない。
何かがおかしい。
それはきっと、公安も関わっている。
私が首を突っ込んだところでどうしようもないことは分かっていたけれど。
それでも体が衝動的に動いてしまった。
ーーー
あの後、彼は一足先にスケボーで、私は急いでタクシーを拾って探偵事務所へと向かった。
あのスケボーも阿笠博士が作ったものだろうか。
恐ろしいスピードが出ていたけれど。
車内でそんなことを考えていると、場所もそこまで離れていなかった為、探偵事務所にはすぐ着いて。
急いでタクシーから降り二階の探偵事務所へと上がろうとすると、その上の三階の方からバタバタと慌ただしい音と共に、毛利さんの声が聞こえてきて。
「おい、放せよ!おい!」
ただ事ではないその声に慌てて三階の方へと顔を出すと、その先には毛利さんとコナンくん、奥には蘭さんや園子さんも居て。
そして毛利さんの両脇立っているのは、数人の警察官。
その中には風見さんもいた。
そして目を疑ったのは、毛利さんの手に掛けられている・・・手錠。
「暴れれば容疑が増えるだけですよ」
逃れようとする毛利さんを、風見さん達は連行しようとしていて。
「待って!」
連れて行かれそうになる毛利さんの前に、コナンくんが両手を広げて立ち塞がった。
「小五郎のおじさんが犯人なら、サミット会場を爆破する動機って何!?」
「そうだ!何の為に!」
確かにそうだ。
毛利さんが国際会議場を爆破する理由が無い。
「それも、事情聴取でうかがいます」
コナンくんのその言葉に聞く耳を持たないまま、風見さん達は毛利さんを引っ張り連行を続けた。
・・・駄目だ。
このまま毛利さんが連れて行かれると、本当に犯人にされかねない。
そう思った瞬間、再び体は勝手に動いていた。
階段へと出てきた風見さん達の前に、コナンくんと同じように手を広げ立ち塞がると、彼をキッと睨み付けた。
「証拠があったんですか」
再び、突然現れた私の姿を確認した風見さんは、ほんの一瞬だけ目を見開いたが、すぐに真剣な表情を取り戻した。
そこは流石、公安といったところか。