第91章 ゼロの
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タクシーを使い阿笠邸に着くと、家の裏側では子供たちのキャッキャと騒ぐ声が聞こえてきた。
その声で、張り詰めていた緊張は一瞬解けたように思えたが、玄関から顔を出したコナンくんの表情を確認した瞬間、それはまたピンッと張り詰めてしまって。
「如月さん・・・こっち・・・」
・・・思い詰めたような顔で、私を中に案内して。
なんだろう、何が起きているのだろう。
ドクドクと心臓が大きく音を立てる度、全身が痛むような感覚に襲われながら、テレビの前までやって来て。
「哀ちゃん・・・」
その前に置かれたソファーには、彼女が座っていた。
コナンくんと同じように、深刻そうな表情をして。
「見間違いなら・・・いいんだけど」
そう言いながらコナンくんは、録画していたニュースを流し始めた。
それは今度、東京サミットが行われるエッジ・オブ・オーシャンについてのもので。
来月開業予定のその場所を、詳しく伝えていた。
でも、何故このニュースを・・・と思っていたのも束の間、その理由はすぐに明らかとなった。
「・・・これ・・・」
ニュース速報で飛び込んできたのは、そのエッジ・オブ・オーシャンで大規模な爆発が起きたというもので。
映像だけでも、その被害が痛い程分かる。
「ここから、よく見てて」
コナンくんの言葉に、画面に食い付いていた目を更に画面へと貼りつかせて。
何度も流れる爆発の様子を目に焼き付かせていく中、一瞬・・・何かが見えたような気がした。
それは、ある一人が爆発に巻き込まれたように見えた。
「少し・・・巻き戻してもらえる・・・?」
もう一度確認したい、と告げると、哀ちゃんがすぐにテレビの操作をしてくれて。
改めて引っ掛かった映像を見た時、それは確信へと変わった。
「・・・・・・ッ」
・・・間違いない。
零だ。
「やっぱり、そうなんだ」
それに気付いた時、彼はそうポツリと呟いた。
そうか、彼らもこれに気付いたけど・・・確信を持てなくて私を呼んだのか。
もしくは、違うことを確認したかったのだろう。
けど・・・ほんの一瞬だったがこれは間違いなく、爆発に巻き込まれる零の姿だった。