第89章 夜桜と
「コナンくん、警察内部に味方でもいるの?」
「・・・如月さんは知らない方が良いよ」
ほんの高校生の・・・しかも見た目は小学生の子に気を使われてしまった。
というよりは、あしらわれてしまったのか。
コナンくんの言葉に否定はしたものの、やはりこちらのバックに公安警察がいるということは、彼の言葉にも鍵を掛けやすい。
でも、知らない方が良いということは、限りなく先程の私の質問には肯定したと取って良いのだろう。
「それより如月さん、あの男とどこで会ったか教えてくれない?」
今度は彼の方からの質問。
その場合、私の自由に答えて良い場合は赤井さんから指示がないはずだけど。
『駄目だ』
結局全部そうなんじゃないかと思う上、せめて何故駄目なのか、どう言い訳するのか言ってほしいところだが。
「ごめん・・・毎回、会ってた時は薬を盛られてたから・・・」
嘘のようなそうでないようなことを吐けば、彼もそれ以上は踏み込めなさそうな表情をして。
申し訳無さから、私もその表情につられた。
「・・・神社でジョディさんと会ったのは、偶然じゃないんだよね?」
互いに質問は重ねるが、そこに明確な答えは提示されていない。
だったら、なるべく答えやすそうな質問から攻めようと考えて。
「バレた?」
笑顔だけは子どもらしいものを浮かべては、彼は僅かに頬をかいた。
「安室さんが来るのは流石に想定外だったけどね」
「それは私もだよ」
外で会う時は、大体都合が悪いと決まっていて。
そして大体、沖矢さんがいる。
だから都合が悪いとも言えるのだけど。
「・・・あの男、組織で何を探ってたんだろうね」
これは私の素直な疑問。
そこまでは零からも聞かされていない。
聞いても教えてはくれないだろうし。
「それもそうなんだけど・・・ちょっと引っ掛かるんだよね」
「?」
そう言いながら、考え込むように指を顎に添えると、先程の笑顔から一変して、真剣な表情を浮かべた。