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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第89章 夜桜と





ーーー

数日後。

あれから早速コナンくんに連絡を取り、会う約束を交わした。

勿論、二人だけという約束で。

場所は阿笠邸。
今日、彼の学校が終わり次第そこで落ち合う約束になっていた。

そこから数メートル離れた場所で彼を待っている最中、私はとある人物に連絡を取って。

その人物から了解の返事を聞くと、一旦、連絡手段に用いた物をカバンへとしまい込み、近付いてくる小さな姿に目を向けた。

「早いね、如月さん」
「私も今来たところだよ」

乗ってきたスケボーを華麗に受け取りながら、コナンくんが駆け寄ってきて。

寄りかかっていた壁から体を離し私も彼に近付けば、自然と二人で阿笠邸へと歩き出した。

ここにしようと提案したのは私からで。
それには幾つかの理由があった。

門を通り、コナンくんが玄関を開けると、阿笠博士が部屋の真ん中で出迎えてくれて。

「おお、コナンくん。如月くんも、よく来たの」
「お邪魔します、博士」

軽く頭を下げながら、この間の神社で早めに帰ってしまったことを謝ると、気にしておらんよ、と笑う博士に促されたソファーへと腰掛けた。

「じゃあ、ワシは地下におるからの」

そう言って地下へ向かう博士の背中を見つめながら、家主を追いやってしまった罪悪感を感じて。

でもそんな罪悪感を感じている暇など無いんだと、それを吐き出すように小さく溜息を吐いては、コナンくんが余所見をしている隙に片耳へとワイヤレスイヤホンを取り付けた。

「・・・それで、この間のことなんだけど」

装着したものを髪で隠し、見えないようにしながら話を切り出せば、私から逸れていた視線はこちらへと戻ってきて。

すぐさま彼も、私と話をする態勢になった。

「あの後ジョディさんと何か話したの?」

そう問うと、彼は何かを思い出すように明後日の方向を向き、頬をひきつらせた。

「あの後、事件に巻き込まれちゃって・・・それどころじゃなかったんだよね」

・・・やっぱり、と思うべきだろうか。

私も彼のように頬を引きつらせながら、あの場は居なくて正解だったのかもしれない、と思ってしまった。




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