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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第12章 迫る影




「そうですね・・・」

私の疑問を聞き、どこかを見上げながら指を顎に添えて考え出した。

「敢えて言うなら、ひなたさんでしょうか」

急に顔を目の前まで近付けてそう答えた。斜め上な答えに、ただただ戸惑うしかなかった。

「わ、私・・・ですか?」

答えの意味が分からなくて。それよりも近過ぎる透さんの顔の方が気になって仕方なかった。

「それは・・・どういう・・・」
「そのままの意味です」

サラっと流されるように返され、悔しさが増えてしまって。これ以上は無意味なやり取りになると思い、やるせない気持ちのまま帰宅の足を進めた。

「あ・・・っ」
「どうしました?」
「い・・・いえ、気にしないでください」

ふと思い出す買い物の存在。寄ろうと思っていたスーパーへの道はすっかり通り過ぎてしまっていた。
一度戻るのはしのびないし、今日はレトルトで済ませれば良いか・・・と考えて。

「どこか寄る所でもありました?」
「・・・ちょっと買い物に。でも大丈夫です、今日は適当に食べます」

そう言うと透さんは歩きながら、また考える素振りを見せて。

「実は今日、少し距離はありますがひなたさんの家付近に車を置いているんです。良ければ一度帰ってから事務所に来ませんか」

それは願ってもないお誘いで。

「いいんですか・・・?」

今までの複雑な気持ちがスっと消えていくのが分かった。同時に自分の単純さに驚いて。

「僕としてもその方がありがたいです。今のひなたさんを一人にするのは少々不安なので」

透さんにそう言われ、やっぱり少なからずいらぬ心配をかけていたんだと思い知って。

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えます」
「喜んで」

今日はこのまま透さんと過ごせる。
そう思うだけで気分も足も軽くなった。やっぱり単純で簡単な女だな、と思いつつもそれでいいや、とも開き直って。


家に帰ると簡単に一通りの荷物を詰めた。その時に初めてスマホがないことに気が付いて。

「あれ、おかしいな・・・」

どこかで落としただろうか・・・と考えている時、帰り道にあった出来事がまた蘇ってくる。

あの時スマホを落として・・・
それをあの男が持った。それが最後の記憶。

まだあの男が持っていたら。大したデータは入っていないが、そう思うとまた恐怖が襲ってくるようで。



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