第88章 感覚で※

「ふぅ、っン･･･んぅん･･･ッ！」

彼の服を引っ掻くように掴んでは、体を捩らせて。

蕾も、口内も、ナカも、全てに彼が触れている。

息は荒くなる一方なのに、上手く酸素を取り込むことができない。

でもこの感覚が、何故か嬉しい。

「んンッ、ぅ･･･！！」

ナカで指がクッと曲げられ過敏な所に触れた瞬間、彼の口内に叫ぶような声を吐き出した。

下の方へと伸びている彼の腕に手を伸ばし、反射的に服の上からそこを掴んで。

久しぶりだということもあるけど。
状況も状況だけに。

体は簡単に果てる手前まで来ていた。

「はっ、ぁ･･･っんぅ･･･ッ！！」

一瞬、空気を取り込む隙を与えてくれたかと思うと、すぐにまた蓋をされてしまって。

私から吐き出される甘ったるい声は、殆どが彼の中へと飲み込まれていった。

「ふぅ、んっ･･･ン･･･つ！」

声に甲高さが足されていくと、私がどうなっているのかは一目瞭然で。

早く落としてほしい。

そんな心の中だけで叫んだ、淫らな願いを聞き取ったかのように、彼の指は的確に弱い部分だけを刺激して。

「んぅん、くッ、･･･っふ、んん･･･ッ！！」

くぐもった声を、背中を反らせながら吐き出して。

ピクピクと体が痙攣しては、頭が真っ白になる。

そして、間も無く襲ってくる倦怠感。

「っはぁ、はぁ･･･ッ」

唇がようやく離れると、むせる程にそこから空気を一気に取り込んで。

「大丈夫か」
「･･･だい、じょ･･･ぶ」

咳き込みながら答えては、彼は私の頭を撫でながらもう一度謝って。

謝るばかりだといつも言われているのに、今日に限っては彼の方が謝ってばかりだ。

何となく、謝るなと言う彼の気持ちが分かる気もした。

「れ･･･っ」
「優しくできないと言った」

休む間もなく、手早く服を脱がされていく。
抵抗する力が無い中、時々触れる彼の手の冷たさに体が小さく反応して。

･･･そしてその手に、無性に触れたくなって。

気付けば私の両手は、彼の片手を掴んでいた。