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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第88章 感覚で※




「はぁ・・・っ、あ・・・!」

キスの最中、自力で立つ力を失っては膝から崩れ落ちた。

支えていた彼が受け止めてはくれたものの、縋り付く力さえも残ってはいなくて。

「大丈夫か」
「・・・じゃ、ないかも」

安心からか、全身の力が抜けていく。

何故か今更、再び実感が強くなっていた。

彼が傍にいるんだということに。
今は、二人きりだということに。

「わ、わ・・・っ」

いつもの様に抱き抱えられると、別の扉の方へと向かい始めて。

何となく、頭の中ではどこに連れて行かれるのか分かっていた。
・・・というよりは、期待していたのかもしれない。

これから彼と繋がることを。

「・・・・・・」

案の定、下ろされた先はベッドの上で。

でも、事務所やもう一つのセーフハウスの物と違い、ここには少し大きなベッドが置かれていた。

それは他に目立った大きな家具が無い分、かなり存在感を増す物となっていた。

「優しくできないと、言っておいたからな?」
「え・・・?」

ベッドの上に座る私と向かい合うように腰掛けたかと思うと、彼の片手が頬を滑り、後頭部へと回されて。

言われた言葉に間違いはないが、それは想像していたものと殆ど真逆のものだった。

「聞いていなかった訳ではないだろ」
「そう、だけど・・・」

戸惑いから目を泳がせていると、ゆっくり後ろに体を倒されて。

「・・・本当に、されたのか」

彼の親指がそっと私の唇をなぞっては、そう問われた。

そういえば、沖矢さんの行動を、彼には誤解されたままだった。

「されてない」

小さく首を振りながら答えると、彼は数秒間私を見つめて。

その後、大きく息を吐きながら胸元に顔を埋められると、そのまま暫く動きを止めた。

「・・・頭では全て分かっていたんだ」

呟くように吐いたその言葉は、彼らしくない弱々しいもので。

自然と彼の頭に手を伸ばすと、綺麗な金髪の髪を眺めながら優しく撫でた。





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