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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第88章 感覚で※




「では、僕達はこれで失礼させてもらうよ」

寂しがる子ども達の傍では、哀ちゃんが零に睨みをきかせた目付きで見つめていた。

哀ちゃんにも悪い事をしてしまったと思いながらジョディさん達に軽く頭を下げると、零と共にその場を去って。

結局、コナンくんと沖矢さんが組んでいたのか、本当にジョディさんと待ち合わせをしていたのか・・・何も分からないままだ。

・・・零が現れた理由も含めて。

「・・・・・・」

歩く間、やはり彼は何も言わなかった。
だから私も、何も言えなくて。

ただ手を引かれる方へと足を進めるだけだった。

気付けば近くの駐車場へと辿り着き、幾つか車が止まる中に見覚えのある車へ視線を向けた。

彼の白いスポーツカー。

その車の助手席側に立つと、彼はいつもの様にドアを開けてくれて。

促される様にして助手席へと乗り込むと、すぐにドアは閉められた。

「・・・何を話した」

運転席に乗り込み、エンジンを掛けながら彼は手短に尋ねてきて。

先程よりは冷静だけれど。
滲み出る彼からの怒りを、感じずにはいられなかった。

彼が尋ねているのは、コナンくんとの事なのか、沖矢さんとの事なのか。
一瞬迷いはしたものの、きっと気になっているのは後者の方だろう、と思って。

「何も・・・神社に向かおうとした時、急に人混みから引き抜かれて・・・」

その後すぐに、零が現れたから。

「その後、何を言いかけた」
「・・・え?」

言いかけた・・・沖矢さんは何か言いかけていただろうか。

「神社へは裏道を通った方がいい、って・・・」

ただ、言いかけたというよりは言われた、という方が近いけれど。

「そうじゃない」
「・・・?」

エンジンは掛かっているが、未だ発車されない車内で小首を傾げながら、彼に小さく視線を向けて。

「ひなたが、あの男に、だ」
「・・・!」

言った。
確かに言いかけた。

あの体勢と、あれだけの言葉では、十分に誤解を招くことができることを。

「何を、言いかけた」

被っていた帽子を取っては、こちらに向けた彼の視線に目を奪われた。

そして捕らえられて、離されなくなった。



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