第88章 感覚で※
「あの男・・・どうやら組織のことを探ってたみたいなんだ」
本当に一体どこから情報を拾ってくるのだろうか。
ただ、そんなことがコナンくんの耳に入っているということは当然、零は知っているはずだけど。
「でも、透さんはそんなこと・・・」
・・・いや、知っていても言う訳がないか。
公安の立場からしてみれば、私はただの一般市民だ。
語尾を濁せば、二人も私の考えと同じだというように小さく頷いて。
「それで?何を探ってたのかしら?」
驚きつつも冷静に話を進めるジョディさんに、流石FBIだと関心しつつ、自分もなるべく冷静さを保つように気をつけた。
「さあ・・・そこまでは分かってないんだけど、あの男が何か情報を掴んだから組織に消されたんじゃないかと思ってる」
・・・成程。
本当に自殺でないのであれば、話の筋は一応通っている。
コナンくんの話通りに考えれば、零がバーボンの雰囲気を醸し出しながらあの男に会いつつも、安室透の名前を呼ばせたのも何となく納得ができるような気がする。
・・・零は、バーボンとして組織の仕事をしていたんだろうか。
あの男の情報を探る為に。
「如月さん、あの男が変なこと言ってなかった?」
「・・・え?」
一人考え込んでいる時にコナンくんから突然声を掛けられ、思わず肩を震わせてしまった。
彼の追求したり察する能力は高いのだから。
・・・吐けるものは吐くと決めたが、要らぬ物まで吐いてしまいそうになる。
「えっと・・・」
何を言えばいい。
何なら言ってもいい。
本当は全て吐くべきではないけれど。
「・・・そういえば」
あの時は薬を盛られ記憶が飛んでしまった瞬間で、薄らとしか覚えてはいないけれど。
「と・・・」
言いかけて、言葉は自然と止まった。
「・・・如月さん?」
誰かに見られている気がする。
それは毎日、公安からの視線を日々感じていたからこそ分かる。
今、私をどこかで見ている人がいる。