第88章 感覚で※
「成程、そういう事ね」
「あ、哀ちゃん・・・?」
納得の言葉を口にしながら、屋台に夢中になる子ども達の面倒を見るからと、博士達と姿を消す哀ちゃんの背中を見て、もしや彼女も私と同じことを考えていたのではないかと思った。
そして、二人の会話に自分は必要無いと判断したからこの場から去った。
そう考えれば、二人の待ち合わせという予想は、あながち間違いではないかもしれない。
・・・これが彼の言っていた何か、だろうか。
「それで、話って?」
自然と話を戻そうとするジョディさんだったが、やはりこの真剣な雰囲気から察するに、会うことは決まっていたのだろう。
・・・これらに気付いた時、一番不安に思ったのは赤井さんのことだった。
事前にコナンくんには、沖矢さんは来ないことを確認した。
でも、赤井さんのことは確認しなかった。
流石に赤井さんの姿でこんな所を彷徨いたりはしないだろうけど。
悪い予感程、当たるものだから。
「・・・如月さんに薬を盛った主犯の男、いたでしょ」
三人でなるべく人気の少ない方へと向かい、こっそりと話を始めるコナンくんに耳を傾けた。
何の事かと聞かないジョディさんを見れば、相変わらず私の情報はFBI内でもリークされているみたいで。
なるべく思い出したくない話ではあるが、この件はコナンくんも巻き込んではいるから。
それについて聞くために呼ばれたのか、と納得しては、吐ける部分だけは吐かないといけないだろう、と考えていた時。
「あの男・・・一週間くらい前に亡くなったんだ」
「えっ!?」
予想もしなかった言葉に、思わずジョディさんと同時に大きな声を出してしまった。
「ど、どういうこと・・・!?」
あの男は公安警察が身柄を拘束して、逮捕されたはずでは。
「自殺、らしいけど。僕はあくまでもそう見せ掛けてるだけだと思う」
「見せ掛けてる・・・?」
分からない。
何故、あの男が亡くなったのか。
何故、そうならなければいけなかったのか。
何故・・・コナンくんがそんな話を知っているのか。