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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第87章 飲んで※




「壊れ・・・ます」
「なら、君はただ傍にいるべきだ」

そう・・・か。

理由はあって無いようなものか。

最初から分かっていたようなことなのに。
赤井さんに言われて気付くなんて。

その瞬間、我に返ったようにハッとし、口元に手を当てながら元々ズレていた視線を更にズラした。

「変なこと聞いてすみません・・・」

どうかしていた、と脳内で思っていると、彼から小さく漏れた笑いが聞こえてきて。

「弱っている時が一番落としやすいんだがな」

そんな言葉を余裕そうな態度で吐く彼に目を向ければ、態度通りの表情が目に映った。

いつもなら少なからず、ため息が出てくるものだけど。

今日はそんな気が起こらないのは、僅かな後ろめたさとほんの少しの感謝の気持ちがあるから、か。

「彼の事は心配するな。これくらいでどうにかなる男ではないだろう。それより、今は自分の心配をしたらどうだ」

赤井さんの言う通りだ。

零だって無策な訳じゃないだろう。
そこに私が副作用なんかで迷惑や心配をかければ・・・足でまとい所ではない。

「それと、もう一つ」
「?」

彼の言葉に、無意識に服を握り締めていた手を僅かに緩めては視線を向けて。

「あまり自分を追い込むな。それは君の為にも彼の為にもならない事だ」

追い込んでいたのだろうか。
そんなつもりは無かったが、言われてみればそうなのかもしれない。

最近の私は、自分の意思すらあるかどうか分からないのか。

「君は一度言うだけでは分からないようだからな」

・・・こういう、零と似たようなことをいうから。
好きではないが、嫌いにはなりきれないのかもしれない。

「もう少し、自分を大事にしろ」

話は終わりだと言うように立ち上がると、彼はどこかへ向かって行って。

その背中を見つめながら、視界から居なくなるまでそれを目で追った。

良い意味で空っぽになった体で自分も立ち上がると、軽くなった足で裏口から出ては来た道を戻り、再びタクシーへと乗り込んだ。




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