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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第87章 飲んで※




「・・・んく、ぅ・・・っ」

暫く彼の指は私の口内の中で優しく暴れ回って。

そして片方の手は、ボディチェックでもするように、全身をくまなく触り始めた。

時折苦しくなりながらも、彼の手を掴んで今は必死にそれに耐えた。

「・・・無いな」

数分口内を掻き乱すと、指を引き抜きながら沖矢さんはそう一言呟いて。

少し荒くなった息のまま沖矢さんを睨むように見つめれば、悪気は無いと言いたげな目で視線を返された。

「立ち話もなんですから、こちらに」

・・・赤井秀一でいるなら、ずっとそうしていてほしいのに。
どうして急に沖矢さんに戻るのか。

個人的に言いたいことも・・・できれば赤井秀一に伝えたいのに。

息を整えながら近過ぎていた距離を離すと、彼はいつもの部屋へと向かっていって。

その後ろをついて行き部屋へ入ると、向かいに腰掛ける彼に続いて、いつものソファーへと腰を下ろした。

「・・・さっきの、何なんですか」

流石に聞かずにはいられない、と険しい目付きで沖矢さんを見れば、どちらと話したい?と聞くように上まできっちり閉められていたシャツのボタンを、数個外してみせた。

そこから見えた変声機に、何故か鼓動が速くなるようで。

「私に話がある方と、お話したいです」

私は赤井秀一と話したい。
でも彼もそうだとは限らないから。

まずは彼の話を聞くのが先だと、自分の言葉は飲み込んだ。

「では、こちらでいかせてもらおうか」

そう言って変声機に手を掛けると、彼の本来の声が聞こえてきて。

声を聞けば途端に・・・罪悪感を覚えた。

「その様子だと、副作用については何も聞かされていないようだな」
「・・・副作用?」

私の質問と関係があるのか。
それに何の副作用か、と聞き返そうとした直後、思い当たる節があることに気付いて。

私が記憶を一時的に、断片的に失う事のきっかけになった、あの薬。

その薬の・・・副作用。



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