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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第87章 飲んで※




「・・・っ・・・」

呼ばれた名前と彼の手の違和感に反応して目を見れば、一目で彼が次に伝えたい事は分かった。


『気持ち良く、して頂けるんですよね?』


言われてはないけれど、数時間前の彼の言葉が再び聞こえてきたようで。

けど、それを行うのが今更ながら恥ずかしい。
そして、本当に良いのかという戸惑いもあって。


『誰かの、入れ知恵ではないだろうな?』


そう問われた時の彼の表情が、脳内に張り付いている。

これから行う事全て、そう思われていたら。

そうで無いと分かってはいても、多少は気にしてしまうもので。

「ひなた」

どこかに行ってしまっていた意識を戻すと、いつの間にか彼の顔が目の前に来ていたことに気付いた。

そして、彼のモノを飲み込む瞬間から、名前以外の言葉を聞かせてくれないことも。

「・・・一度だけ・・・名前、呼んじゃ・・・だめ・・・?」

貴方の本当の名前を。

その質問をした瞬間。

何故か、鼻の奥がツンとして。
涙が出そうになって。

でもその理由は、私が知りたいくらいで。

ただ目の前にいる彼は、安室透でも、バーボンでもなく、降谷零なんだと・・・確信したかった。

目が合っている彼の表情が僅かに動いたのは分かった。
でもそれが何を意味しているのかも分からなくて。

・・・何もかも分からないから、辛いのだろうか。

「・・・駄目だ」

真っ直ぐな眼差しで、私を見て。
少しの間が空いた後、彼は力強くそう答えた。

その瞬間、全身が心臓のようになった気がした。
ドクンと跳ねたそれが、脳内の全ての機能を一瞬ストップさせて。

「そう、だよね・・・ごめん・・・」

ああ、駄目だ。
このままだと目から何かが溢れてしまう。

それを見ても彼はまた、泣き虫だと言ってその指で拭うのだろうけど。

その優しさを、今は感じたくなかったから。

彼の肩に顔を埋めるように擦り寄せ、慣れないながらも必死に腰を動かした。




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