第87章 飲んで※
「なに、を・・・」
足がガクガクと震え始める中、なるべく鏡越しではなく、彼を直接見るように軽く首を回しながら率直に尋ねて。
「っあぁ・・・!!」
でもその質問に、すぐ答えが返ってくるわけではなかった。
腟内にある彼の長い指が僅かに動けば、一気に快楽が体を蝕んだ。
「あのまま僕がここに連れて来なければ、何をしていた?」
・・・ここに、ということはその直前での出来事。
それを聞いて心当たりが無い訳はなくて。
「・・・それは・・・」
あの時は、バーボンの女らしく振る舞わなければと必死だった。
彼はそういう事を望んでいないのだろうけど。
でもバーボンとの関係は、そういうものなのだから。
それに。
「透さんも・・・挑発、したから・・・っ」
そもそも先に焚き付けたのは彼の方だ。
私がどこまですると思っていたのかは分からないけれど、あれくらいまでのことは・・・。
「答えにはなっていない。それに、挑発した覚えも無い」
そう言ってグッと指が奥を刺激すると、大きく体が跳ねながら甘い声を一際大きく響かせた。
じゃあ、あの時の煽るような言葉は何だったのか。
「待っ・・・て、透さ・・・っ」
「待てば答えが出るのか?」
それならいくらでも待つ、と、耳朶を甘噛みされながら言われると、自分でも彼の指を締め付けたと嫌でも分かった。
「あれが挑発に聞こえたのなら謝る。が、あれは本当にひなたの行動か?」
・・・どういう、意味だろう。
「誰かの、入れ知恵ではないだろうな?」
ああ・・・なんだ、そういうことか。
「・・・違うよ」
あれは誰に教わったのかと・・・聞きたかったのか。
正しくは、沖矢さんに教わったんじゃないのか、と。
「バーボンの女になるのに必死なの・・・っ」
いくら彼が、そのままの私で良いと言っても。
それだけでは足りないことが必ずある。
それがただの空回りだとしても、行動しなくちゃ・・・意味がない。