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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第86章 刻んで※




「ひなた?」

・・・なんだろう。
ふわふわ、する。

「ごめん・・・のぼせたのかな・・・」

それ程暑くはないし、湯船に浸かっていた訳ではないけれど。

彼の体に寄り掛かりながら足の力を抜くと、冷たい床にへたりこんだ。

「待ってろ、水を持ってくる」

私を壁際に座らせると、彼は閉めたばかりの扉に手を掛けて。

「・・・っ・・・」

・・・行かないで。

そう言いたかったのに。

声が出なくて。

そんな状態でも、ただ一つ気になったのは。

彼の手の甲の傷。

全体的に赤くなったそれは、さっきまで無かったはずなのに。

どうしたの、何があったの。

なんて聞く間も無く、彼が扉を閉めると同時に、一瞬にして目の前は真っ暗になった。


ーーー


「・・・・・・ッ!」

感覚的には数秒間瞼を閉じていただけに感じた。
でもその数秒間は、実際には数時間の時を含んでいて。

目を覚ましたと同時に勢いよく体を起こすと、即座に当たりを見回した。

そこは意識を失う前に居たホテルには変わりない。
けれど、居たはずのシャワールームではなかった。

ベッドの上で、バスローブに身を包み、きちんと布団を掛けられて。

「・・・透さん?」

彼の姿は無く、一人で。

・・・最近にもこういう事があった気がする。

少し開いたカーテンから見える外の景色から察するに、まだ夜は明けていないようだけど。

ゆっくりベッドから足を下ろすと、部屋を一通り見て回った。

「・・・・・・」

彼が言っていた、カメラのような類は見当たらないけれど。
それは私の探し方が悪いのだろうか。

・・・いや、今はそれよりも。

「私、どうすれば・・・?」

部屋の真ん中で呆然と立ち尽くし、ただポツリと一言呟いて。

部屋を出て良いのか、着替えて良いのか。

とりあえず脳を目覚めさせる為に顔を洗おうと、前回記憶が途切れている脱衣所へと向かった。




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