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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第86章 刻んで※




「!」

一瞬の迷いのような動揺はあったものの、すぐに行動に移さなければ怪しまれる。

そう思い、彼のモノへと手を伸ばしかけた時、彼はそれをすかさず掴んで止めさせた。

「シャワー、まだでしたね?」

驚いて見上げれば、彼の複雑な表情が目に入って。

余裕は無さそうだけれど、理性は保っているようで。
口元は笑っているのに、目は笑っていない。

・・・どれくらいかは把握できないが、怒っていることだけは分かる。

「・・・わ・・・っ」

軽く身なりを整えると、雑に抱えられるように私の体をベッドから浮かせて。

一直線に、部屋に備え付けられたシャワールームと思われる場所へと向かうと、その前の脱衣所でゆっくりと体は降ろされた。

「少し待っていろ」

耳元でそう小さく指示をすると、彼は辺りを見回したり、脱衣所にある大きな鏡に触れてみたりして。

私は指示通り、ただ黙ってその様子を目で追いかけるしかできなかった。

「・・・ここには無いようだな」

小さく浅いため息を吐きながらそう呟くと、彼は私にそのままゆっくり歩み寄ってきた。

呟いていたことは恐らく・・・カメラのこと、だろうけど。

そう考えつつも、彼から感じる妙な威圧感に押されるように、彼が一歩進む毎に、一歩後退りして。

「・・・ッ!!」

壁に背が着くとほぼ同時。

彼の手も少し音が立つ程度の勢いで、壁に突かれた。

「説教とお仕置は後からとして」

彼の言葉に、どうかお手柔らかに・・・と心の中で呟いては、そっと視線を床の方へ落として。

「ある程度ここで時間を潰そう。今後奴らがどういう指示をしてくるかは分からないが、今度接触を図られて何か聞かれた時は、僕が口止めしていると言えば良い」

手短に伝えたいことだけを伝える彼に、視線は落ちたまま小さく頷くと、彼の冷たい指が優しく頬を撫でた。

「もう・・・あんなことは絶対に口にするな」

あんなこと。

彼の言うそれに心当たりがあるようで無くて。

僅かに視線を上げながら小首を傾げると、彼の威圧感が増した気がした。



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