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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第86章 刻んで※




「・・・きゃ・・・っ」

あと少しで辿り着けたのに。

寸前の所でその手を彼に握られたかと思うと、グッと引き寄せられて倒れるように体を密着させた。

「焦らしているのですか?」

彼のその問いには、違うとも、正しいとも言えなかった。
そのつもりは無くとも、状況はそれに変わりなくて。

「・・・ッ」

やると言ったからには、さっさと覚悟を決める。
そう改めて決意を固めると、勢いだけで彼の唇に唇を重ねた。

触れるだけ、なんて優しいものではなくて。
どちらかと言えば押し付けているとも言えた。

「っん・・・!」

キスって、どうしていたんだろう。

そんな軽いパニック状態の中、彼の唇が少し開いたと思うと、そこから伸びてきた舌が私の唇をひと舐めして。

驚いて咄嗟に離そうとするが、彼が私の後頭部を押さえていて、それを許さなかった。

「・・・ン、ぅ・・・」

私からしたはずなのに。
私がしなきゃいけないはずなのに。

いつの間にか、このキスの主導権は彼に握られていた。

口内へと忍び込んできた彼の舌は、私の舌を絡め取るように自身の口内へと引きずり込んで。

同時に意識まで吸い取られているようで、クラクラとする感覚にグッと耐えた。

「は、ぁ・・・っは・・・」

ようやく唇が離れた頃には、全身の力が抜け切っていて。

整わない不規則な呼吸をしながら、彼にもたれ掛かるように体を預けた。

「お終い、ですか?」

挑発的な言い方ながらも、もう辞めろという彼の本心にも気が付いてはいて。

できるはずがない、すぐに辞めるはずだと思っていたのだろうけど。

そんな事は無いのだと無意味な意地を見せると、軽く体を起こしては彼の首へと舌を這わせた。

「・・・っ・・・!」

彼がいつもするように。
さっき、されたように。

下から上へと、ゆっくりと。

一瞬ピクリと震えたように感じた彼の体を感じながら、何度か場所を変えては舐め上げた。



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