第86章 刻んで※
声を極端に我慢したせいか、体はいつも以上にピクピクと痙攣して。
快楽が落ち着いても尚、小刻みに体が震えた。
「・・・っ、!?」
その間、彼の指は埋まっている腟内から引き抜かれないものの、動いてはいなかったのに。
再び動き出したかと思えば、弱い部分だけを集中的に攻められた。
「っは、ぁ・・・ッや、だめ・・・ッ!!」
口内に埋められていた指は抜き取られ、大きく空気を取り込むと首を振りながら止めてと懇願した。
「もっと、の間違いでしょう?」
違うと首を振り続けながらシーツを掴むと、その手から逃れるように体を捩らせた。
「何故、逃げるのですか」
・・・何故。
そうだ、何故逃げるのか。
何故嫌だと首を降っているのか。
今の私は、組織の人間に無理矢理ここへ連れて来られた、ただの一般人ではない。
そして目の前にいる彼は、今は降谷零ではない。
「・・・ぃ、あぁ・・・ッ」
組織の人間の一人であるバーボンと、その女なだけ。
その二人が、一つの部屋に入ったのならする事は一つだけ。
そういう関係なのだから。
拒む理由も、嫌だという資格も無い。
「待っ・・・イっ、く・・・ッ!!」
「何度でも」
手袋をしているにも関わらず、粘着質な音が聞こえてくる。
それ程までに濡れていることを思い知らされて。
今度は声を塞ぐものが何も無い。
彼の指も、抑えようという思いも。
「あ、ぃ・・・っ、あぁぁ、ああ・・・ッ!!」
握っていたシーツをしわくちゃにしながら甲高い声を部屋中に響かせて。
背を反らせながら再び達すると、酷い倦怠感に襲われた。
「まだバテてもらっては困りますよ」
そう言ってようやく腟内から彼の指が引き抜かれると、愛液でぐっしょりと濡れた手袋を脱ぎ捨てて。
「これからが、楽しいんですから」
・・・いっそ、その言葉のように楽しんでしまえれば。
目の前にいるのは降谷零でなくても、彼には変わりないのだから。