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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第86章 刻んで※




「明日、指示があるまでここに篭っていてもらおうか」

バーボンが私の肩を引き寄せたところでウォッカが親指で指し示したのは、目の前にそびえ立つ、豪華ではあるが至って普通のホテルだった。

何かの金属音が聞こえたかと思い、それに目を向けた頃にはバーボンの手へと渡った後で。

ウォッカから投げ渡され、宙で受け取ったそれに目をやると、どうやらホテルの鍵のようだった。

「せいぜい楽しみな」

彼らからそれ以上言葉が出ることは無くて。

早々にポルシェへと戻れば、すぐに走り去ってしまった。

「・・・どういうこと・・・?」

走り去る車を暗闇に消えるまで確認した後、小さな声でバーボンへと尋ねるが、それに対しての返事が返ってくることはなかった。

車を駐車場へと移動させ、体を引かれるままホテルへと入ると、彼は渡された鍵が示す部屋へと向かうべく、エレベーターへと真っ直ぐ向かった。

「・・・・・・」

会話が無い。

どうして何も喋ってくれないのか。
それとも、何も喋ることができないのか。

考えられるのは、付けられた覚えは無いが盗聴器の類・・・。

そう考えながら彼の横顔へと視線を向けるが、どこか怒っているようにも見えて。

「・・・!」

ふわっとした僅かな浮遊感に気付けば、それは最上階へと止められていた。

離れるなという言葉通り、肩を抱かれ体をピタリとつけたまま歩みを進めると、奥の部屋へと真っ直ぐ連れ込まれて。

「・・・ッ・・・!」

広過ぎる室内をまともに見る事もできないまま、密着していた体はベッドの上へと投げ出されて。

少し手荒で乱暴な行動に戸惑いながら反射的に閉じていた瞼を上げると、既に彼は私の体の傍に手を突いて、覆い被さっては見下ろしている状態だった。

その目はどこか冷ややかで、やはり怒りの感情を強く感じた。

「ど・・・っ、ンん・・・!」

何かを聞く間も与えられない。

口を開いた瞬間、それは彼の唇で蓋をされて。

・・・まるで、昨日の夜のようだ。




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