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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第86章 刻んで※




暫く車を走らせ、彼はとある地下駐車場へと車を降ろした。

また、あの男に会うことになるなんて。

会う理由までは教えてくれなかったが、どことなく彼も理由を聞かされていないようにも思えた。

「・・・・・・!」

奥の方へと車を進めたその先に見えたのは、何度も目に焼き付けたあのポルシェで。

まだ彼らの姿は見えていないのに。
悪寒のようなものが、ゾッと背筋を駆け抜けた。

「大丈夫」

彼は私の手を握っては、強い口調でそう言ってくれて。

彼の揺るぎない正義の横顔を見た途端、嘘のように震えは治まっていた。

「行きますよ」

ポルシェから少し離れた場所に車を停めると、彼のその言葉を合図に車を降りて。

スモークガラスの向こう側にいるであろうあの男に目を向けながら、バーボンの側へと立った。

「遅いんじゃないですかい?」
「早く着いたのはそちらでしょう?僕は時間通りに来ましたよ」

初めに車から降りてきたのは、ウォッカだった。

会って早々、喧嘩腰の二人の会話にひやひやしながらバーボンの背後に回ると、ウォッカに続いてもう一人車から降りてきて。

居ないと思っていた、あの女性。

「久しぶりね、バーボン」
「あぁ、貴女も居ましたか」

・・・ベルモット。
彼女はそう挨拶をしながらも、視線は私の方へ向けていた。

「ところで、何の為に呼びつけたんでしょうか。せっかくの二人の時間を無駄にしてまで来たんですから、余程の事なんですよね?」

言いながら彼は私の腰へと手を回し、グッと体を引き寄せた。

バランスを崩し、思わず彼へと倒れ込むように足をもつれさせると、その体を優しく受け止め抱き締めてくれた。

「彼女、こちらに渡してくれるかしら?」

彼らには背中を向ける形になってしまったせいで表情は確認できないものの、それが良いものでは無いことくらい分かる。

「・・・致しかねますね」

バーボンの胸元へと顔を埋めると、彼は再び喧嘩腰でそう言い放った。

何故ここに連れて来られたのか分からなかったが・・・最初から私に用事があったことには間違いないようだ。



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