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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第85章 覚えて※




「・・・零」

置かれた手に指を絡ませながら名前を呼ぶと、彼は落としていた視線をこちらに向けて。

それを確認した直後、素早く体を浮かせては彼の唇に飛び付くように触れ合わせた。

「もう、居なくならないから」

触れるだけのキスの後、不鮮明な彼の顔を見つめながら、答えにならない答えを口にして。

そういう事を思っているのかどうかは分からないけど、彼の様子からしてそういう事も不安要素の一つだろうから。

「・・・分かっているさ」

困ったように笑ってる。
はっきりと確認できる訳ではないが、そういうことは分かって。

言っておいて何だが、なんて信憑性の無い言葉なんだろう。
正直、それを口にしてしまったことを少しだけ後悔するくらいにそう思った。

「・・・何か他に気になる事があるの?」

それでも消えない、彼の手の小さな震えが気になって。
単刀直入に問い掛けてみた。

暫く彼は何も言わないまま、震えながら指を絡ませている手に力を入れると、覆い被さるようにベッドへと私の体を押し付けた。

「その話はまた今度だ」

・・・またはぐらかされた。

でもそう言うということは、やはり彼なりに思うことが他にもあるということで。

何より感じるのが、こういう行為もまた、それらを覆い隠す為のものになっていそうなのが辛い。

そうでは無いと、頭では分かっているけれど。

「・・・今は、ひなたを感じさせてほしい」

そう言って、擦り寄るように首元へと彼の顔を埋められて。

擽ったさに顔を顰めながら零の背中へと手を回すと、さっきまでは無かった体の小さな震えまでもが伝わってきた。

震えの理由を聞きたかった。
大丈夫だよ、と言ってあげたかった。

それでも言葉だけではどうしようも無いこともある。

それは自分が彼に対して取ってきた行動も理由なのだと思えば、悔しさや申し訳なさでいっぱいになった。

結局私は・・・彼の不安要素でしかないのではと、思う程に。



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