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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第85章 覚えて※




「どうした?」
「・・・ううん、何でもない」

私の傍へと腰掛け、ベッドが沈むのを感じて。

でも視線はキャンドルから離れなかった。

「ひなたは相変わらず、嘘が下手だな」
「え?」

そう言われてようやく、零へと視線が向いた。

淡い光に照らされた彼の横顔は、どこか艶めかしくも感じて。

「やっとこっちを見たな?」
「・・・っ」

その瞬間、顎を軽く掴まれ上にクイッと上げられて。
暫くそのまま互いに見つめ合い、静かな時間が流れた。

「れ、零・・・?」
「何だ?」

何をする訳でも無い。
ただ見つめ合うだけ。

てっきり・・・。

「何かされると思ったか?」
「!」

・・・そうか、これも意地悪か。

最近そういう物が無かったから、耐性が薄い。

やたらと・・・心臓に悪い。

「・・・しないの?」

互いに質問を重ねながら会話は進んで。

本当にさっきの悲しそうな目は演技だったのではないかと思う程、対象的な余裕そうな笑み。

それに拗ねるように尋ねれば、彼の笑みは深くなって。

「もう少し、このままひなたの顔を見ているのも悪くない」

そういう彼の視線の圧が強過ぎて。

目を逸らさないように下唇を軽く噛めば、顎を掴む彼の親指が、ゆっくりその唇を優しくなぞって。

触れているのは指なはずなのに。
見つめ合っているせいか、唇同士が触れているような感覚に陥った。

「・・・っ・・・」

それが徐ろに、唇の隙間から忍び込んできて。
思わずそれに舌を絡めそうになった。

「れ・・・」

意地悪全てに踊らされるなんて、少しだけ悔しいから。

せめてもの抵抗だったのに。

彼の顔が近付いて来た時、思わず求めるように名前を呼びかけてしまって。

半ば零の指を咥えたまま、咄嗟に瞼を閉じて身構えた。

「・・・・・・?」

でも、一向にそこへ何かが触れることはなくて。

恐る恐る、ゆっくりと固く閉じていた瞼を開いた。



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