第85章 覚えて※
「色々と情報を漏らしたのは、ひなたをポアロから連れ去った、あのグループからだった」
そういえば、あの時使われた薬は情報屋が使わせたと言っていた気もする。
「その前から潜入捜査は始めたていたが、まさかひなたに目を付けられているとは思わなかった」
赤井さんも、そう言ってた。
・・・私も、知らず知らずの内に目を付けられているなんて思わなかった。
その理由をあの男は言っていたけど・・・それは真実だったのだろうか。
「そのグループにひなたを連れ去られた時、僕がポアロを離れたのを奴は見ていた。だから僕が公安もしくは警察関係者でないかと疑い、そうでないと証明するのにひなたを連れて来いと条件を付けたんだ」
その頃から情報屋は零の事をそう疑っていたのか・・・それとも、自分に近付く人間全てをそう思っているのか。
「あの男がホテルで女性を売っていた事もあったから、ひなたもそうするつもりだったのかもしれない」
「ホテル・・・」
じゃあ、もしかして・・・零と行ったあのホテルに行った時の、彼が言った用事とは。
「ひなたと行ったあのホテルで、女性が売られた情報があった。だからあそこには、その監視カメラの映像と、現場の確認をしに行った」
成程・・・そういう事か。
何となく点と点が繋がるようだったが、今でも分からないことは多くて。
「あの倉庫にひなたが連れて行かれた情報も定かではなかったが、掴んだからには確認をする必要があった。取り逃がさないとも限らなかったから、僕は姿を出さず風見に頼んだんだ」
・・・確かに、私ではあるけど、人質がいればそれだけリスクは高い。
あの場に赤井さんが居たから何とか・・・。
「・・・・・・」
違う、赤井さんが居なくても公安の人達は何とかしてくれたはずだ。
どうして今、赤井さんに頼る様な思考になってしまったのか。
これじゃまるで、公安警察がFBIに劣っていると考えているみたいじゃないか。