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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第84章 教えて※




「・・・君のお兄さんが好きだったんだ」
「兄が・・・?」

そんなの、初めて聞いた。
いや、これも忘れてるだけなんだろうか。

・・・もしかして、さっき話していた作ったことのあるもう一人って。

「僕と知り合ってからの好みだから、知らなくても当然さ。ひなたに話すのも、これが初めてだからな」
「そう・・・だったんだ」

そういえば、彼と兄は同じ公安の人で、一緒に潜入捜査をしていて・・・。

・・・そこで、兄は・・・母を・・・。

「・・・・・・」

そういうことは、覚えているのに。
いや、覚えていなくちゃいけないんだけど。

忘れて良い事なんて、一つも・・・。

「・・・あ・・・」

一つ、思い当たる節が出てきて。
それに気付いて、思わず小さく声が漏れてしまった。

「どうした?」
「あ、いえ・・・何でもないです」

笑って誤魔化してみるが、彼は聞きたい衝動を抑えているようだった。

それでも聞いてこないのは・・・彼なりの優しか、それとも私の口から言わせようとしているのか。

「ちょっとだけ、兄の事を思い出しただけですから」

嘘のような本当のようなことを言い訳にすれば、彼は不服そうに小さく納得のため息を吐いた。

・・・忘れてはいけない記憶ばかりだけど、一つだけ、忘れられれば良かったと思う人物はいる。

それは本人を目の前にしても言い放った。

そして、私の聞き間違いでなければ、彼もそうであれば良かったと言った。

自分で言っておきながら、本人にそう言われると罪悪感のようなものが込み上げていて。

本心のつもりだったけど、それは嘘だったんだと・・・気付かされたようで。

何故か、悔しかった。


ーーー


「ここに泊まっても構わないが・・・どうする?」

ポアロを出ると、彼の車に乗って事務所へと移動した。
距離としては差程離れてはいない為、着くのはすぐだったけれど。

「いいの?」
「勿論」

二階へと足を踏み入れて確信した。
ここでの記憶は限り無く取り戻している。

ぼんやりとしていたものは、ハッキリとそれを得た。

どこで、どうやって、誰と過ごしていたか。




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