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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第84章 教えて※




「久しぶりで疲れたんじゃないか?」
「いえ、そんな事ないです」

その日でのポアロの仕事は、滞り無く終わった。

二人で閉店作業をしながら外を見れば、すっかりそこは暗闇に包まれていて。

「良ければここで食事を済ませないか?マスターから許可は貰ってるから」

そう言った彼に目を向ければ、その手にはパスタが握られていた。

「透さんが作ってくれるんですか?」
「正しくは、降谷零がな」

・・・そっか、もうお客さんはいないから。

とっくに分かっていたことなのに。
二人きりだということを今更自覚すれば、何故か心拍数が上がってしまって。

記憶を無くしてからも、二人きりなことは幾度と無くあったのに。

「僕が作っている間、そっちは任せても大丈夫そうか?」
「は、はい・・・っ、大丈夫です」

何なんだろう、この気持ち。

彼の事が好きなのも、もう分かってた事じゃないか。

なのに、どうして・・・こんなにも。

「・・・・・・っ」

彼を思う気持ちで溢れているんだろう。

ーーー

「どうぞ」
「ありがとうございます、いただきます」

彼と隣同士でカウンターに腰掛けて。
差し出されたナポリタンの前で手を合わせると、食前の挨拶を済ませた。

お昼を適当に済ませ過ぎたせいか、お腹は極限状態になっていて。
一口それを運べば、一気に幸福感が押し寄せた。

「美味しい・・・!」

心の底から出てきた本音を漏らしながら頬張っていると、横からクスクスと静かに笑う声が聞こえてきて。

「・・・?」
「いや、ただ可愛いと思っただけさ」

何かおかしなことをしたかと彼を見ながら首を傾げると、彼はその笑いを続けながらそう答えて、自分の分のナポリタンを口に運んだ。

・・・彼は以前からこういうことを、サラッと言ってしまうような人だったんだろうか。

そうだとしたら私はそれを、毎回冷静に受け止めていたんだろうか。

それとも今の私のように、真っ赤になっては心拍数を上げて、どうしようもない表情になりながら、ドキドキしていたんだろうか。




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