第82章 消える※
「い、あぁ・・・ッ!」
下着の隙間から入ってきた指は、すんなりと腟内へ侵入してきて。
これを待っていたと言わんばかりに、その感覚に体は歓喜の声を上げた。
けれど、脳内では自制する命令も出ていて。
「・・・ッ・・・」
彼の指が、腟内に埋められている玩具に当たった感覚も、全て手に取るように分かる。
「ひぁっ・・・あぁぁ・・・ッ!!」
それを掻き出そうとしている手にも。
耐える私を強く抱き締める手にも。
降り注いでくる、シャワーにさえも。
触れる場所全てが溶けそうな程に熱くて、声が抑えられない。
彼の指がナカの玩具を掻き出そうと動く度、ビクビクと体が跳ねて。
一際強く刺激を受けた瞬間、全身に電気が走ったような感覚に陥った。
「ッ、や・・・ぃ、ああぁ・・・っ!!」
達した感覚には近かった。
でも、それが達したのかどうかさえも分からない。
分かったのは、腟内に埋められていた玩具がゴトンっ、と音を立ててシャワールームの床に落ちてきたことだけ。
そして、まだ何かを求め続ける体が、小刻みに震え続けた。
「・・・ぃ、・・・れ、い・・・」
助けを乞うように、彼を思い出すように。
まだ違和感が残る彼の名前を呼んだ。
「・・・中和薬を手に入れるまでは、どうしてやることもできないんだ」
悔しそうに話す彼に、ただ快楽を与えてくれるだけで良いんだ、と体が訴えた。
相変わらず頭では、そんなこと求めてはいけないと言っているのに。
「・・・ッ、ふ・・・ぁ・・・」
シャワーを止められ、座っている彼に顔を押し付けるように縋った。
頭が真っ白になって、何も考えられない。
あんな薬のせいで。
あんな男のせいで。
「っ・・・」
悔しい。
熱くて。
苦しくて。
「ひなた・・・!」
その声が・・・体に染み込んでいくように。
そして溺れていくように。
また静かに意識を手放した。