第82章 消える※
「ッ・・・!」
もうダメだと思いかけた時、その体は彼によって受け止められていた。
抱き締めるように、縋るように、彼と体が密着したその瞬間、消えていた体の中の熱が何故か一気に燃え広がり始めて。
鼓動は強く、息は苦しく、薬が効いていた直後のように暴走を始めた。
「・・・っあ・・・!」
彼の腕や胸辺りを強く掴みながら、熱による苦しみに耐えた。
何かを体が欲している。
それが何かは・・・十二分に分かっている。
でもそれを、今求めてはいけない気がして。
「ひなた・・・!?」
「・・・・・・ッ」
彼の声が、苦しい。
その声だけで、犯されているようで。
早く離れたいのに、離れられなくて。
「ひなた・・・ッ」
「ひ、ぁ・・・っ!」
やめて。
呼ばないで。
これ以上は、本当に・・・。
「・・・っ、んん・・・!」
体が熱くなって、感覚が過敏になった瞬間。
体も記憶も忘れていたあの存在を、体が先に思い出させた。
「っ、と・・・って・・・!」
まだ、ある。
あの男に埋められたあれが、腟内に。
動いていなくても、その感覚だけは残っている。
そのせいで、体は余計に疼きを見せた。
「ナカ・・・っ、早く・・・ッ」
彼の胸に顔を埋めながら、そう懇願して。
しても良いのか不安ではあった。
けど、迷っている時間が無いのも事実で。
「・・・やあっ・・・!」
数秒、彼も事態を把握するのに掛かったのだろう。
それでもすぐに私を抱き抱えると、どこかへと運びだして。
「風見!今すぐ僕とひなたの着替えを持ってそこで待機していてくれ!」
「は、はい!」
扉越しに彼が風見さんにそう声を掛けて。
その後連れて行かれたのは、部屋に備え付けられていた簡易的なシャワールームだった。
お湯が出ることを確認すると、彼は服の上から私にそれを掛けて。
「・・・我慢ばかりさせてすまないが、もう少し耐えてくれ」
そう断りを入れると、彼の指が下着の隙間からするりと侵入してきた。