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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第82章 消える※




「っ!!」

思わずそれに、目を瞑ってしまった。

でもそれもほんの一瞬。

瞼にさえも力が入らない体は、再び男を視界に入れた。

「・・・っく・・・」

次にその姿を目にした時、目を疑った。

確かに男は銃を構えたはずなのに。
その手には銃があるどころか、真っ赤な血液を手から流しながら、表情を歪めていた。

何が起きたのか。
それを把握する為に、入口にいたマスクの男性にも目を向けたが。

「お、抑えろ!」

マスクを付けた男性も、何が起きたのか分かっていない様子だった。

でもその直後、男性はどこかに潜んでいた人達を呼び寄せては、私の少し先で手から血を流す男を取り押さえるように指示を出した。

その後、すぐさまマスクの男性は私の方へと駆け寄り、素早く手の拘束を解いた。

「大丈夫ですか・・・!?」

着ていたスーツを脱いでは、私に掛けた。

確か・・・この人の、名前は・・・。


「風見・・・さん」


確かめるように、その名を呼んだ。

それが聞こえると安心したのか、強ばっていた風見さんの顔に僅かな安堵の表情が見えた気がした。

「彼の命令かい?ご苦労なことだ!」

負け惜しみのようにも聞こえる台詞を吐きながら、男は見知らぬスーツ姿の男性達に腕を取られていて。

風見さんに指示されているということは、取り押さえているスーツ姿の男性達は公安の人達、か。

「で・・・っ、肝心の彼は?」

それでも笑みを崩さない男は、風見さんに向かって問い掛けた。

・・・男の言う彼とは、誰のことなんだろう。

「何を聞いているのか、分からないな」
「まあ、しらばっくれるのは当然だよね」

会話・・・と言えるのかは怪しい。

風見さんは本当にその彼というのを知らないのか、それとも。

「詳しい話は署に着いてからだ。昨日、お前と会っていた金髪の男も既に確保した。同じく一緒にいたこの女性には随分熱を入れていたようだがな」

・・・私に?

昨日・・・一緒にいた・・・?

「・・・っ・・・」

・・・そうだ。
私は昨日誰かと一緒にいた。

でも、分からない。

分かりそうなのに、何も分からない。

私が昨日何をしていたのかも、私に熱を入れていたその彼が誰なのかも。




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