第2章 葬式
雨足も強まってきたので、そろそろ行こうか、と二人して踵を返す。
「おぉわっ」
昴が間抜けな声を上げた。この長雨でできたぬかるみに足を取られたのだ。バランスを崩した彼女の身体を支えたのは、すっかり男らしい体つきになった雪男の腕だった。
驚いたように振り返る昴の視線を受け止めて、雪男は不敵な笑みを浮かべる。
「守られるのも吝かではありませんが、少なくとも僕は守られっぱなしでもいられません。最年少で祓魔師の資格を手に入れたプライドがありますから」
鼻でも鳴らしそうな態度の雪男に、昴はやられた、とばかりに片目を歪めて微笑んだ。雪男の一番好きな彼女の表情だった。
「ふふ、頼もしいねえ。さすが私の弟といったところかな」
「当然ですよ、『姉さん』」