第2章 スタンバイ・シュガー/相澤
昨夜は久しぶりだからと張り切りすぎた。もう若くはないのだと翌朝のこの気だるい体に思い知らされる。
いつもより少しだけ重いけれど満たされた体を動かして、名前の姿を探せば飯の支度をしていて。
「ん、消太おはよ」
「おはよう」
朝の挨拶とともに額に唇を落とせば途端に染まる顔。
「そういう過剰なスキンシップは心臓に悪い!」
「いつになったら慣れんの」
「……いつまでも、無理だと思う」
ぽそりと吐き出して、盛り付けた朝食をテーブルへと運ぶ。まあいつまでも可愛らしい反応をしてくれるから慣れなくてもいいんだけどね、なんて言おうもんなら顔を真っ赤にして怒るだろうから言わないけど。
「勝手に作っちゃったけど、食べる?」
「名前が作ったものならなんでも食べるよ」
思うまま口にすればにこにこと笑う名前。幸せだ。
「消太ってさ、なんでそんなに私のこと」
「ん?」
「いや、その……そんなに、好き、なの」
自分から聞いておいて恥ずかしいらしい。そういうとこだよ。
「なんでだろうな」
「質問に質問で返さないでよ」
「名前は?俺のことそんなに好きじゃない?」
「……じゃなかったらここにいません」
少しだけむくれて次々に料理を平らげていく姿に笑いが漏れる。
「そうか?じゃあ名前はなんで俺が好きなの?」
「…全部、好みだからかな」
「え?」