第5章 部活 にっ!
飛び込んだのはいいけれど、ほんとは泳ぎたくなかった。
市川に馬鹿にされたくないし…。
水泳部に入ったけど、好きなだけで特に速いわけでもない。
でも、ここで泳がないのも負けたようで嫌だ。
そう思うと私の体は自然に泳いでいた。
今までとは違う、まるで魚のような感じがする。
楽しくて楽しくて…。
そう思ってるともうゴールに手がついていた。
タイマーを見ると、まさかの15秒。
な、なんで?
そう思いながらスタートの方に行くと市川の他に数人の部員がいた。
「面白いもの見ちゃったわ。有望な新人さん!」
と部長に言われた。
「い、いや…。たまたま。…。たまたまです。」
またおどおどしてしまった。
こんな会話をしていると、いつの間にか集合時間になっていた。
「それでは、筋トレ始めますよ。」
部長が言う。
「はい!」
みんなで声をそろえて言った。
筋トレは意外ときつかった。
スクワット位ならできると思ってたけど、腹筋50回に腕立て50回…。
1年は全員へこたれてた。
と、思ったけど1人市川だけ続けていた。
女子はみんなキャーキャー言っていた。
私はカッコいいなんて思わない…。はずなのに。
…。胸がどきどきしてる。
これってもしかして…。
いや、違う。
私は私に言い聞かせる。
「あいつは嫌いなんだと」
そのあと1時間くらい泳いで、今日の部活は終わった。