第19章 憂き世炎上
どうしてこうなった。
それ以外の言葉が浮かばなかった。相澤先生と共に呼び出された校長室で、校長先生に手渡された写真週刊誌。
“SCOOP!
イレイザーヘッド密会!相手は雄英出身ヒーロー シュレーディンガー!元教え子と熱愛か!?”
見開きページの見出しにでかでかとこう書かれていて。二人でタクシーから降りてマンションへと向かう写真がバッチリと掲載されていた。私の腰に腕を回す先生に凭れ掛かるその姿。その隣には初めて先生の家に行った日の朝、時間差で出てくる場面も載せられていて。別に時間差で出勤したとかそういうのではないのだが、見ようによってはそう取られるんだなあ、なんて他人事のように思った。
叫び出したい気持ちをぐっと抑えて細くため息を吐けば、隣にいる先生から小さく息を呑む音が聞こえた。
「君達が交際しているかどうかはね、関係ないんだ」
「まあ座って」そう言って仰々しい椅子から降りた校長が接待セットのソファへよじ登り座る。それに倣って相澤先生と私も腰を下ろした。
違うんです、交際なんてしてないんです、してようがしてまいが関係ないのかもしれないけれど私の拗らせた恋心が最悪の道を辿ってるだけなんですもうほんとすみません。寧ろその真実の方が最悪だ。でも最近は本当に全く何もありませんから、悲しくなるほど何も無いですから。いやもう本当にすみません。心の中で懺悔する声が届くはずもないのだが、目の前の素晴らしい毛並みに必死に謝罪していた。
「明日これが発売されるらしいんだ。きっとマスコミが騒ぎ立てる。後は、わかるね?」
「謹慎、ですか」
「さすがイレイザーヘッド、話が早くて助かるよ」
「ですが校長、私と相澤先生が抜けるとなるとクラスは」
「君たち二人にはしばらく寮に入ってもらうよ」
選択の余地などないとピシャリと告げる。