第2章 存在しない愛に溺れる(裏)
「……っは………ぁ…」
焦らすように身体を滑る、大きくて少し骨張った手。服の中で身体をまさぐるその手は、触れてほしいところに触れてくれない。やわやわと膨らみを触るその指が突起を掠める度に声が漏れる。それでも、痛いくらいに主張する突起には望むように触れてくれなくてもどかしい。
「せん、せ……っ…」
もどかしさに「おねがいさわって」、そう小さく懇願した声に満足そうに目を細めた先生が服をたくし上げて、唇が素肌に触れる。這うよう蠢く舌が脇腹からなぞるようにつぅ、と舐め上げて突起を口に含んだ。
「っぁあ!……んんっ♡」
待ち侘びた刺激に上擦った声が出る。咄嗟に手の甲を押し付けて声を抑えるが、その手はいとも簡単に縫いとめられてしまった。
「声、抑えるな」
「無、理、……恥ずか、し、っぁあ!」
強く吸われて、噛まれて、声が抑えられない。それに気をよくしたのか、執拗に攻め立ててくる。もう一方の胸もぐにぐにと形を変えるほどに揉まれ、頂を摘まれる。
その度にじん、と下腹部が疼いて下着が湿っていくのがわかる。足を擦り合わせて与えられる快感に耐えているのに気付いた先生が、くくっと喉を鳴らして笑った。
「もうっ、やだぁ……っ……」
「じゃあやめるか?」
「えっ、」
「嫌がる女を抱く趣味はない」
それに、「そこまでしてするほど飢えてないよ」そう言って離れていく体。すぐそこにあったはずの温もりが消えるのが怖くて、先生の腕を引いた。
そこに私の望む感情など存在していないとわかっていても。それでも、愛されたかった。体だけでも繋がりたかった、手に入れた気に、なりたかった。