第15章 愛されたがりのロスト・エデン
息をするのも苦しくなるほどに喰らいついてくる唇を酸素を求めて離そうと頭を引くと後頭部に先生の手が回されて逃がさないとばかりに更に激しくなる口付け。
「んん、……っは、……ん、、」
歯列をなぞる舌にゾクゾクと躰が粟立っていく。好きな人とするキスって、こんなに気持ちいいんだ。おそらく最初で最後の口付けに脳が蕩けていく。先生の背中に腕を回せば私を抱く先生の腕の力が強まってさらに深くなる口付けに、幸せすぎて涙が零れそうになる。まるでそこに愛があるように貪るような口付けは、悲しくて、幸せだった。
いよいよ苦しさが勝って先生の背中をトントンと叩けば離される唇。どちらのものとも分からないくらいに混ざりあった唾液が銀の糸となって名残惜しそうに先生と私の唇を繋いで切れた。
ギラギラとした瞳で私を見下ろす先生に下半身が疼く。私に欲情している、その瞳に体は勝手に熱を上げる。
額に、鼻に、頬に、首に、そして唇にちゅっ、ちゅっ、と軽くキスを落としながらその手は私の肌を暴いていく。ブラウスのボタンを取り払われたその時に脳裏を過ぎる、胸元に吸い付いた独特の模様が入った金髪。そこには、さっきつけられた痕が。見られたら軽蔑される、軽い女だと、思われる。いくら先生が今日を覚えていなくても、少しでもそう思われるのは嫌だった。
「だ、だめ……!」
肌蹴たブラウスを必死に胸の前に寄せて、そこにある鬱血痕を見られないように隠す。
けれど燃える瞳が私を見下ろして、苦しげに吐いた言葉に心が震え上がった。。
「今更止められるかよ……、お前が、水分が欲しい」
なんて殺し文句だろう。いくら酔いが回っている状態とは言え、ただ欲を発散したいがための言葉だったとしても、好きで好きで愛して止まない男にそんなことを言われてその先を拒める女がいるだろうか。