第11章 嘘つきアーモンド
いやに鮮明な夢を見た気がして、汗だくで目を覚ましたのはベッドの上。
まただ、また、水分の夢を見た。
滑らかな肌に指を這わせて、思うままに水分を掻き抱く。水分と飲みに行ってからというもの、定期的に見る夢の中の水分は煽情的に俺を誘う。元教え子となど駄目だと思っていても夢の中だと思えばそんな理性は簡単に消え去って、思いのままに水分を乱して。薄い唇を貪るように口付けて、白い肌に赤い華を咲かせる。俺を求める水分に己を突き立てて。現実では出来ない行為をここぞとばかりにしてのける。
「……俺は中学生かよ」
べったりと汚れた下着を見てため息を吐く。40手前のおっさんが、ハタチそこそこの元教え子をオカズに夢精って、なあ。
昨夜は水分と飯を食いに行って、その後飲みに行った。そこまでは覚えているがその先の記憶が無い。またやっちまった、そう嘆息してとりあえず気持ち悪いこの汗と出してしまった欲を洗い流そうと浴室へ向かう。
洗面台にぽつんと鎮座するそれに背中がスッと冷えた。
昨日、いや、いつも水分が身につけていたはずのネックレスだ。どうしてそれがこんなところに。
思い出そうにも思い出せない昨日の記憶を手繰り寄せれば、俺のことを呼びながら自分を慰める水分の姿が浮かんで。夢の中で見たそれに、まさかな、と呟いてシャワーを浴びた。
元教え子に抱く邪な考えも洗い流すように。