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【ヒロアカ】許してね、ヒヤシンス【R18】

第8章 明けぬ夜を繰り返す(裏)



 以前と違って目的は一つだ。リビングへと続く廊下の途中、寝室らしき扉を開けて入っていく先生に続いてその部屋へと入ればあまり使われた形跡のないベッドが鎮座していた。ベッドに腰掛けた先生に誘われるままその隣へと腰を下ろしてそのままポスンと倒れ込めばほんのり埃っぽさの混じった先生の匂いが鼻腔を掠めた。私の好きな、匂いだ。

 ゆったりとした動きで覆い被さってくる先生に胸が高鳴る。私を見下ろすその目は、正しくオトコの目。

 未だ着慣れないスーツを脱がされて曝け出されていく肌。触れ合うのは二度目だと言うのにそこに慣れなど一切なくて。緊張しているせいかどこか冷静で、家でも寝袋で寝ているんだろうな、なんて僅かにしか先生の匂いを含まない布団に埋もれて思う。そして脳裏に浮かんだのはあの朝に寝袋に包まっていた先生。

 慣れた手つきで脱がせていた先生の手が止まる。

「なに考えてる」

「先生の、こと」

「はっ、どうだかな」

 そう吐き捨てるように言った先生の口角がほんの少し上がっているのが見えた。

「妬いたんですか」

「、何に」

 冷たく言い放たれた言葉に火照った身体が萎縮する。何を期待しているんだろう。なんとも言い表せない、よくわからないこの関係で。

「っ、なんでも、な、……んん、」

 慣れたようにホックを外したその手が背骨をなぞるように撫で上げる。くすぐったさと気持ちよさが混ざった感覚にくぐもった声が漏れた。

 年齢を考えれば当然かもしれないことだが、手慣れてるな、なんて思ってしまって切なさに胸がぎゅっと締め付けられる。私だって生娘なわけでもないのに。

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